図書館を骨の髄まで使い尽くす

「図書館活用法」シリーズも今回で最終回です。様々な活用法を紹介してきましたが、お役に立てたものはありましたでしょうか?

今回は最終回にふさわしい、図書館を骨の髄まで利用しつくすトピックを紹介します。

ネットで図書館フル活用

最近はネットが普及したおかげで、以前よりもずっと図書館が使いやすくなっています。そのひとつが蔵書の検索です。

いままでならその図書館へ出向いて、職員に聞くか、自分自身で検索機で探さなくてはならなかったのが、今では現地に行かなくても、パソコンやスマホを使ってどこでも行えます。

検索したら、その本をそのまま予約することもできます。さらに貸出できる状態になれば、メールで教えてくれたりもします。もちろんこれらのサービスも無料です。

ただしログインするためのパスワードなど、最初は窓口で申請しなければならないケースが多いです。後からだとめんどくさいので、カードを作るときに同時に済ませるのをおすすめします。

読みたい本を買おうか借りようか迷っている場合にも活用できます。予約件数がネットの検索画面で確認できる図書館もありますので、予約が多すぎる→諦める→ネット通販で購入、みたいなことが瞬時にできてしまいます。

検索を集約した便利サイト

全国の図書館を検索できる便利なサービスもあります。代表的なのが「カーリル」です。エリアを指定して、読みたい本がどの図書館にあるか、瞬時に検索してくれます。

カーリル | 日本最大の図書館蔵書検索サイトhttps://calil.jp

これを使うと、いちいち各図書館のサイトで検索しなくても、一発で結果が分かってしまいます。私の使用率が高いサイトのひとつです。

自動車文庫、移動図書館

建物の中にある図書館だけでなく、自治体のよっては、自動車に本を載せて各所を回る自動車文庫(移動図書館)を実施しているところもあります。 図書館に行きにくい地域の公民館や学校に、本を載せたクルマが月1~2回の頻度で巡回するものです。

このサービスを実施している自治体にお住いの方はラッキーです。実はこの自動車文庫が「図書館サービスの穴場中の穴場」なのです。

自動車文庫のメリット1:持ち帰りの負担軽減

自動車文庫のおすすめのポイントとして、子育て中のパパママにとってありがたい存在だということです。

幼児教育のために絵本や図鑑を読ませようと、図書館で借りる方は多いと思います。絵本も図鑑もかなりの値段がしますので、借りた方が経済的です。

問題は、絵本や図鑑は重くて持ち帰りが大変なことです。子ども連れで図書館へ行き、子どもの世話をしながら重い本を運ぶのはひと苦労。でも、自動車文庫が近所に来ていれば、家の近くで借りて、持ち帰る負担をかなり減らすことができます。

自動車文庫のメリット2:ゆっくり選べる

自働車文庫が停車する場所は、大型マンションの敷地や公園、公民館などで、クルマの往来が少ない、子どもにとって比較的安全なところです。親が子どもから目を離しても大丈夫なところなので、ゆっくり本が選ぶことができます。

普通の図書館だったら、静かな大人の閲覧場所へ、騒がしい子どもを連れていくのは躊躇します。でも自動車文庫なら、それが可能なのです。

自動車文庫のメリット3:交流場所になっている

自動車文庫は平日の昼間に運行していることが多いので、メインのターゲットが主婦層になります。

特に1歳~3歳の、まだ幼稚園に入らない子どもを持ったママさんが多く集まりますので、情報交換の場として機能していたりします。上の子をすでに幼稚園や小学校に通わせている、地域の先輩ママさんから実体験や貴重な情報を聞けたりします。

どうやったら子育てのリアルな情報を聞けるのか迷ったら、自動車文庫の停車場に来てみてはいかがでしょうか。

自動車文庫のメリット4:予約本を持ってきてくれる

主婦や子育てママさん以外の人にも、自動車文庫はおすすめしたいのですが、それにはウラの理由があります。

前の記事で、近くの図書館が良くなくても、本の予約やリクエストをして、図書館同士のネットワークを利用することで「受取窓口」として活用すべし、と書きました。

自動車文庫のなかには、予約を受け付けて自宅の近所まで持ってきてくれる場合があります。これを利用すれば、他の自治体の図書館から取り寄せた本まで、近所まで運んでくれます。自分で行かなくても、「受取窓口」が近所まで来てくれるようなものです。

ただし、自動車文庫は日にちと時間が決められていてほとんどが平日なので、フルタイムの仕事をしている方にはなかなか難しいと思います。でも平日のどこかが休みで、近くに来ている自動車文庫にアクセスできるなら、いろんな図書館から取り寄せてもらえるチャンスです。これを利用しない手はありません。

自動車文庫のメリット5:人気の本がはやく読める

自動車文庫を利用すべき最大の理由は、「競争率の低さ」です。

人気の本を図書館で予約しても、数百人待ちとか何か月待ちなど、かなりの期間待たされることになります。そして半年後から1年後、予約したことも忘れたころに準備できたと連絡が入ることになります。

人気の本は買った方が時間の節約ですが、どうしても借りたい場合はぜひ、自動車文庫で予約することをおすすめします。それはなぜなのか説明します。

特殊な自動車文庫の位置づけ

一般の図書館と自動車文庫は、同じ図書館の組織に属しています。しかし、その運営の形態は全く違います。建物の中の図書館では、本を買う費用以外に、空調や明かりなどの電気代が発生します。かたや自動車文庫では、クルマを動かす燃料代などがかかります。

同じ図書館に属していても、その性質はかなり異なっているので、予算がそれぞれ分かれていたりします。自動車文庫は、単独で予算を持っていたりするのです。 

自動車文庫の利用者の中にも、人気の本を読みたい人がいるでしょう。自動車文庫は、そのような要望に応えようと一般の図書館同様、人気の本も購入します。しかし一般の図書館に比べて自動車文庫の利用者数は圧倒的に少ないため、予約件数も少なくなります。

そうすると、一般の図書館と比べて競争率が低くなり、早く人気本が手元に来る可能性が高いのです。人気の本をどうしても早く借りて読みたいなら、穴場である自動車文庫に注目してください。

最後に

ここまでいろいろな活用法を書きましたが、この程度では図書館にまつわるサービスのすべてを書き尽くすことは、残念ながらできません。

記事にしていませんが図書館は、高価な有料データベースが無料で使えたり、視覚障碍者のための音訳CDの貸出サービスがあったり、電子書籍の貸出があったり等、幅広いサービスを提供しています。

ただ、この記事のシリーズは障碍者や研究者など専門家ではなく、一般の方を想定して書いています。この方々にとって一連の記事で、ほぼ図書館を使い尽くしているレベルに到達できるはずです。

いま、あえて図書館を推す理由

現代社会ではほとんどの人がパソコンやスマホを持っていて、ネットに瞬時にアクセスできてしまいます。そこで検索した情報を我々はなにげなく受け入れていますが、そんな情報は玉石混交、信用できないものも多く含まれています。掲示板や質問に答えるサイトなど、どこの誰が書きこんだのかわからないものです。

かたや本は、出版されるまでに著者から編者者、校正者など数多くのプロの目をくぐりぬけてきた、いわばひとつの「作品」です。誤字脱字はもちろん、事実誤認などもかなり減っています。

出版された書籍とは、それだけ信頼性の高いメディアなのです。そんな書籍を集積している図書館は、まさに信頼できる「情報の宝箱」といえます。

そんな「情報の宝箱」が身近にあるのに、利用しなければどうなるでしょうか。価値が低くみなされて、図書館への予算は間違いなく減らされるでしょう。そうなると、ますます魅力のない図書館になってしまします。

図書館を育てるのはみなさんひとりひとりなのです。あなたが図書館を利用するということは、図書館の価値を高めることにつながります。それはあなた自身のためだけでなく、次の世代の子どもたちを含めた、みんなのためになるのです。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

あなたが図書館で、人生を豊かにする一冊に巡り合えますように。

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