「図書館活用法」シリーズも、今回で5回目となります。これまでの記事で、少しでも図書館に興味を持った方が増えたなら幸いです。
みなさまのお住まいの市町村の図書館はいかがでしょうか。静かで蔵書もたくさんある図書館が近くにあれば、満足度は高いでしょう。しかし、そんなところはまれで、多くの図書館が施設が老朽化していたり、蔵書を増やすのに苦労しています。
少子高齢化で福祉にお金がかかるのに、働き手が少なくなって税収が減っているため、社会教育や文化施設に予算を割けない自治体が増えています。
いい図書館がある市町村へ引っ越せばよいのですが、なかなか現実的ではないでしょう。実は引っ越しなどしなくても、今の環境のままで良い図書館を利用する方法があるのです。
住民以外が利用するための「ウラ技」
図書館を利用するために登録できるのは「その市町村の住人」です。その市町村に税金を納めてくれている住民に対するサービスなので、それ以外の人には資格がないのも当然です。
しかし、例外として「よそ者」も登録できることがあります。
ひとつが、その地域に働きに来ている、職場がその市町村にある場合です。職員証や名刺などを提示して証明すれば、利用登録できることがあります。
また、その市町村にある学校に在学している場合も同様に、利用登録できることが多いです。これも同じように、学生証などを提示して認めてもらう必要があります。
お仕事帰りや学校帰りに、いちど近くの図書館へ立ち寄ってみてはいかがでしょう。毎日同じ繰り返しの通勤通学にちょっとしたアクセントが付けられますし、普段あまり行かない地域に寄り道して、新たな発見があるかもしれません。
使える図書館が劇的に増える「相互利用」
もうひとつはあまり知られていないのですが、「相互利用」によるものです。
多くの図書館では、他の市町村との間で「相互利用協定」を結んでいます。自分の住む市が、他の市町村と相互利用協定を結んでいると、そこの市町村の図書館で登録・利用できてしまうのです。
これを利用すると、一人でいくつもの市町村の図書館のカードを持つことができます。ちなみに大阪ですと、大阪市が相互利用の協定を結んでいるのは、周辺の14市。驚くほど選択肢が増えます。
逆に、住んでいる市町村の図書館に不満がある場合、この制度はすごく魅力的です。自分が住んでいる市町村が、図書館に恵まれた別の市に隣接しているなら、この制度がないか調べてみるべきです。
注意すること
他の市町村の図書館を利用する方法を紹介しましたが、その場合、受けられるサービスに制限があったりします。例えば、通常10冊の本が借りられるのに5冊まで、CD・DVDが借りられないなど、そこの住民とは差別化されている場合があります。事前にどこまでのサービスが受けられるか確認しておきましょう。
また、多くの図書館をできるようになっても、A市で借りた本をB市で返すなどはできません。もちろんA市のカードはB市で使えません。図書館は市町村ごとに独立しているのでご注意を。
近い図書館だからこそ使うべき理由
お住いの自治体の図書館が良くなくても、周辺市町村の図書館が使えるなら、そちらをメインで利用するのもひとつの手です。
でもせっかく近いのに、お住いの図書館を全く使わないというのも、非常にもったいないので、有効な使い道を考えましょう。
それは近くの図書館を、単なる「受取窓口」にする、というものです。
自治体の運営する図書館は、そこに住む市民へのサービスとして活動しています。もし市民が読みたい本があるといって、要求されたら提供する使命を負っているのです。
しかし図書館にその本が無かったらどうするか。他の自治体の図書館から取り寄せて提供してくれます。
どんな小規模であっても、図書館であるかぎりは他の市町村の図書館とのネットワークを持っています。それを利用するして、自分の代わりに他の自治体に頼んでもらうのです。
お近くの図書館が、蔵書が少ないとか読書環境が良くないと悲観しないでください。蔵書にない本でもどんどん予約して取り寄せてもらい、ぜひお近くの図書館を「受取窓口」化することをおすすめします。
次の記事
[kanren postid=”242″]