HSPをとりまく残酷な現実(HSP⑤)

前回は「戦士階級」が攻撃するのは遺伝子の要求するものなのだ、という特性についてお話しました。

[kanren postid=”31″]

では社会の中で「戦士階級」はどのように扱われているのでしょうか。

「戦士階級」優先社会

社会の風潮として、ビジネスなどでも拡大することや、富や名声を勝ち取ることが良いこととされ、推奨されます。これらはまさに「戦士階級」の価値観なのですが、普通の人たちはこれが当たり前だと思って受け入れいています。

そのような風潮の社会では、犯罪を犯したりする極端に攻撃的な人でない限り、「戦士階級」の人たちは好意的に受け止められます。

ビジネスでガンガン稼ぐ人や、声が大きく発言力のある人はもちろん、粗暴な立ち振る舞いの人でさえ「アウトロー」や「やんちゃ」などとポジティブに言い換えられます。

反対にHSPはどうでしょう。物静かで目立たないHSPは外には出しませんが、豊かな内的世界を持っています。しかし外から見えないため、その価値は普通の人たちは理解できません。

そうすると内向的なHSPは、「暗い」「面白くない」「何を考えているのかわからない」など、ネガティブなレッテルを貼られることになりがちです。そんな風潮の中、いわれのない烙印を押されて、多くのHSPの方々は苦しんでいます。

”普通”な対応

ところで、「戦士階級」でも「相談役階級」でもない大多数の普通の人たちは、どのように振る舞うのでしょうか。これまで述べたような社会の風潮を作り上げるのは、この普通の人たちです。

普通の人たちは一般的、常識的なので、「戦士階級」ほどアグレッシブな言動をしません。しかし現代社会ではあらゆる場で、リーダーシップや発言力、人と違う個性が要求されます。

「戦士階級」の有名人は、「共感」能力が低いので他人を気にせず、大胆な行動や発言を平気な顔をしてやってのけます。それを見た普通の人たちは、「戦士階級」をリーダーや先駆者として憧れの対象としてしまうのです。

では会社や職場など、身近にそんな「戦士階級」がいる場合はどうでしょう。周りを気にしない彼らの行動に、普通の人たちは扱いに困ります。

普通の人たちが「戦士階級」の行動を抑えようとすると、さらなる攻撃性を引き起こし、手に負えなくなります。

普通の人たちはそれを経験的に分かっているので、どうするかというと、

「戦士階級」のわがままを、ある程度許す 

という対応をすることが多くなります。例えばゴネてクレームをいう客に、時間をかけて断るよりは、少し妥協して納得してもらう場面はよく見られると思います。

普通の人たちは、動物としても本能的に「普通」だといえます。つまり、大事なのは「自己保存」であって、自分自信と家族を守りたいだけなのです。

それを守ることが最優先なので、自分たちが大幅に損をしない限り、できるだけ「戦士階級」からの攻撃を避けようとするのです。

HSPにとって過酷な社会

学校や会社など、どんな組織にもかならず「戦士階級」「普通の人たち」「相談役階級」が存在します。「戦士階級」の攻撃性が、良い形で外へ向かって活動しているときは何の問題も起きません。

しかし、その攻撃性が組織の中に向けられた時、その矛先として向かいやすいのが、おとなしくて内向的な「相談役階級」であるHSPの方々なのです。 そのとき発生するのが、深刻な社会問題となっている「いじめ」や「パワハラ」なのです。

その時、大多数の普通の人たちはどうするか。普通の人たちは自分の身を守るために、自分に攻撃の矛先が向かないようにします。そのための選択肢は、

①中立を装い、見て見ぬふりをする

②「戦士階級」に加担して、一緒にHSPを攻撃する

③別の「戦士階級」をけしかけ、争わせる

などが考えられます。

①普通の人たちのほとんどが、これを選択すると思います。良くないことだと分かっているので、攻撃に加担することはしません。自分の身が大切なので「空気」になることに徹し、被害にあっている人を助けようとはしません。

②まさに「スネ夫」的戦略。ジャイアンと一緒にのび太をいじめます。普通のひとのなかでも「共感」能力が低くかったり、過度に保身にこだわる人がとる選択肢です。

③赤の他人のために、こんなことをしてくれる人は皆無です。こんな策略家は、出世など自分の利益のためなら、こういう手を使います。

HSPの方々に言いたいこと その②

これまで述べたように、「戦士階級」は好き放題に攻撃してくる。

普通の人たちは自分のことで頭がいっぱい。

社会で問題となる、いじめやパワハラの構造の一端がお分かりになったのではないでしょうか。ここから導かれる結論は、

誰も助けてくれない

という、目を背けたくなる残酷な現実なのです。なので、私はHSPの方々に言いたい。

どうか、大切なあなたを、あなた自身が守ってほしい 

ではどうやって?それには具体的な方法があります。続きの記事をご覧ください。

次の記事

[kanren postid=”54″]