揺るがしようの無い「生まれ」という事実(HSP④)

「戦士階級」の人々は、単純に他人を攻撃したいからする。多くのHSPの方々は、彼らがどうしてこのような行動をしているのか理解不能で当惑する、と前回書きました。

HSPの方々は「戦士階級」と呼ばれる人たちについて、彼らの行動にいちいち頭を痛めることがないよう、理解を深める必要があるのです。

「戦士階級」という生体プログラム

みなさんの周りでも、他の人に迷惑がかかることものお構いなしに、公共の場で大声で暴れたり飲み食いしたりする人を、だれでも一度は目にしたことがあるでしょう。

数分待たされただけで、何時間もクレームを言い続ける人。特定の人に罵声をあびせて、いじめつづける人。ものすごい轟音を響かせながらバイクで蛇行する人。

彼らはそんな行動を、ごく当たり前のこととして行っています。生まれ持った役割、すなわち「共感力を無くして他人を攻撃する」ことを、自然と忠実にこなしているだけなのです。

そんな「戦士階級」の行動を見て、思慮深いHSPはどのように考えるのでしょうか。

クレームはこちら側に、何か原因があるのでは?

いじめる側にも、傷ついた心の闇があるのでは?

不良少年になったのは、恵まれない家庭環境のせいでは?

もとになった原因をケアすれば、彼らはきっと更生するはずでは?

周りがどんなに支援しても、彼らの変わることはありません。そして何度も犯罪を犯しては刑務所に行くのです。

実際、凶悪な事件を起こした少年たちは、成人したあとも事件を起こし、通常よりも再犯率が高いという現実があります。簡単に更生できないことは、この再犯率を見ても明らかです。

なぜ、そんな行き違いが生じるのでしょうか。そこには「生まれ」か「育ち」という考え方の違いが横たわっているのです。

生まれる前から決まっている

私は「戦士階級」の攻撃性は、生まれ持った特性だと考えています。それほど遺伝の影響は大きいものです。

「生まれ」=遺伝で決められた特性は、後からの「育ち」=環境で変えることがほぼできないのです。

ある双子(一卵性双生児)を調査したところ、環境の及ぼす影響の少なさが証明されました。その双子は幼い時に里子に出され、お互いの存在を知らないまま成人しました。

成人し結婚した後、お互いの生活を調べると、同じような家に住み、同じような服を着て、同じような女性と結婚し、同じようにひげを生やしていたそうです。

一卵性双生児はお互いに同じ遺伝子を持っています。育った環境が異なっても、DNAが要求するとおりに、人は行動してしまうのです。

極端なことを言えば、母体の中で胎児のときにはすでに遺伝子は確定しているので、生まれる前からあらゆることが決まってしまっている、とも言えます。

努力はムダなのか

遺伝子であらかじめ決まっている、ということ言うと「すでに決まっているなら努力してもムダだというのか!」とか「ナチスの優生学だ!」というお叱りを頂戴します。

もちろん努力は否定しません。むしろ好きなことを見つけて、それに対して努力すべきだと思います。また、人間社会には多様性が必要ですので、優生学には反対です。

近年研究が進み、「遺伝」と「環境」がどれだけ知能や体の特徴に影響を与えるかがわかってきています。その中で言えるのは、やはり「遺伝」が人間の性格に大きな影響を及ぼしているということなのです。

ここで私が遺伝について説明したのは、どうしてもHSPの方々に知ってほしい事実があるからなのです。

HSPの方々に言いたいこと その①

なんでも深く考え込んでしまうHSPに知って欲しいこととは、

「人を攻撃するために生まれてくる人間が存在し、彼らは話が通じない」

という不都合な現実があるということ。

別の言い方をするならば、

あなたを攻撃している人は、あなたが原因なのではなく、その人が攻撃的に生まれてきたからで、

あなたは悪くない

できるだけ多くのHSPの方々にこのことを伝えたい。

まさにこれが、私がこのブログを書こうと思い立った理由です。

遺伝だけで何もかも決定されるわけではない、と学術的にいろいろ研究され、私の私見が間違っていると思われる方もいらっしゃると思います。

ただここでは、学術的正確さを追究する場とはしたくありません。

私の目的は「生きづらいと悩むHSPの方々に、考えを転換させるアイデアを提供して、少しでも生きやすくなってもらう」ことです。

HSPが「自分せいだ」「自分が悪いんだ」と思って背負っているものを、できるだけ降ろしたい。

ただそれだけの思いで書いておりますので、ご理解いただければ幸いです。

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