HSPが絶対に理解できない人たち(HSP③)

理解不能の人々の正体

前回ではHSPの人が、他人の言動にくっついてくる感情や意思を敏感に感じ取ってしまい、それによって疲弊してしまうと説明しました。

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そしてさらに、HSPにとって意図がまるで理解不可能な人たちがいる、と最後に申しました。今回は、それがどんな人なのか明らかにしたいと思います。

アーロン博士の2つの「階級」

HSPを最初に提唱したエレイン・N・アーロン博士はその著書『ささいなことにもすぐ「動揺」してしまうあなたへ。』の中で、歴史的にHSPは社会の中で「相談役階級」となることが多いと書いています。

HSPは思慮深く、一歩引いて全体の調和を考える傾向にあるため、顧問や歴史家、教師、学者など、早急な行動にブレーキをかける役割を担ってきたといいます。

では、だれがそんな早急な行動をとるのかというと、アーロン博士は「相談役階級」の正反対のポジションに「戦士階級」という人たちが存在するというのです。

「戦士階級」は王や軍人などに代表され、外敵と戦って領土を広げたり、交易などで富を求めたりして、国を大きくする役割を担ってきました。異なる文化が衝突した場合、より攻撃的なほうが生き残る確率が高いので、社会はどんどん好戦的になっていく傾向にあります。

しかし、「戦士階級」が外へ外へ拡張しようとして野放しにしておくと、必ずどこかで無理が出てくるものです。たとえば、戦争をするにも武器や食料、人材などをきちんと用意しなければならないように、裏方で調整する人が必要になります。

帝国と呼ばれる国々では、攻めていく「戦士階級」と内部調整をする「相談役階級」のバランスがとられて、うまく機能していたから大きい国になった、とアーロン博士は論じています。

戦士階級とは

アーロン博士は、HSPの対極にある攻撃的な人々を「戦士階級」と名づけました。でも、世の中をその2つのタイプだけに分ける、ということには無理があると思います。

世の中のほとんどは、そのどちらでもない、いわゆる「普通の人々」が占めています。

彼らは「戦士階級」ほどに好戦的でもなく、「相談役階級」ほどに思慮深いわけでもありません。我々が生活する現代社会でも、やはりほとんどが「普通の人」がです。

そんな「普通の人」と見た目が変わらなくて、全然見分けがつかないが中身は「戦士階級」という人々が、どの時代も、人口の数パーセントですが必ず存在します。彼ら「戦士階級」の性質は一体どのようなものなのでしょうか。

彼らの役割は、ただひとつ「攻撃する」ことです。

「戦士階級」は、他者を攻撃するために生まれてきます。そして思考も、それに特化したものになっているのです。どういうことかというと、好戦的な彼らには戦いに勝つために、邪魔になるような脳の機能を持っていません。それは何か?

「共感力」です。

戦争に負けて命を奪われる者の気持ちをいちいち考えていては、戦場に立てません。「相手の気持ちを理解しない」というのが、他者を攻撃するためのもっとも効率的な機能なのです。

「戦士階級」の人々は、「共感力」がない、またはあっても他の人より少ないので、自分のしたいことをしたいようにやります。そこに遠慮や配慮などはありません。

いろいろな場所で問題になる「いじめ」を思い出してください。いじめている者は、すごく楽しそうにやっています。いじめられている人がどれだけ嫌がっているかなど、全く気にするそぶりなど見せません。

たびたび戦争や武力衝突があった時代であれば、彼らは兵士として欠かせない存在でした。しかし平和になると、彼らはやることが無くなります。外敵に向けられていた攻撃性が、同じ社会の中のメンバーに向けられることになってしまします。

攻撃するために生まれてきた「戦士階級」は、いつも攻撃する相手を探しています。そして、おとなしく内向的なHSPは、彼らの攻撃の標的になりやすいのです。

高い共感力を備えた思慮深いHSPは、こんなふうに考えます。

「彼らが攻撃的な行動をすることに、何か原因があるじゃないか?」

しかし、そんな問いに意味はありません。攻撃したいからする、ただそれだけの理由なのです。それが理解できないため、多くのHSPの方々は苦しんでいるのです。

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