司令官の教え(対人スキル①)

今回から、「対人関係」「対人コミュニケーション」に焦点を当てて、記事を書いていこうと思います。

ほかのシリーズ記事で、HSPはどうやって生きてゆけばよいのか、HSPの人生のアウトラインについて、私の考えを述べさせてもらいました。

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このシリーズでは、敏感さゆえに対人関係に悩むHSPにも役立つ、他人と接する際に身につけておくと有用な考え方を紹介していきます。

コミュニケーション地獄

私たちはどんな場所においても、社会の一員として対人関係から逃れることはできません。人里離れたところで自給自足の生活をしない限り、何らかの人間関係は生じます。

また、社会で活躍するには、高いコミュニケーション能力が必要とされます。コミュニケーションスキルの上達のために、多くの方が熱心に取り組んでおられます。

一方、多くの方々が対人関係につまずき、悩んでいます。自分をうまく表現できなかったり、他人の言葉で傷ついたりしたことで、コミュニケーションに自信がない人も少なくありません。

『嫌われる勇気』という本が大ヒットしましたが、そこで紹介されたアドラー博士によると「人間の悩みはすべて対人関係の悩みである」と言い切っています。それほど対人関係は、生きる上で大きなテーマとなっています。

みなさんの中には、職場や家庭、その他いろんな場所での人間関係を、すべてうまく調整しようとして「コミュニケーション疲れ」を起こしている方もいるのではないでしょうか。

いまはSNSなどで常にコミュニケーションを強いられていて、まさに「コミュニケーション地獄」と呼べる状態です。

根本的な間違い

私は以前、仕事が原因でうつに陥ってしまいました。その原因はまさに「対人関係」でした。

当時の私は自己主張の強い人たちを相手に仕事をしていて、彼らとうまくコミュニケーションを取ることができませんでした。ときにはコミュニケーションを拒絶することすらありました。

うつになり、長いあいだ休職しましたが、仕事に復帰した後は拒絶せずに、どんな人でもコミュニケーションを取ろうと考え直すことにしました。

対人関係に役立つものはないか、書店でいろいろなノウハウ本を買い漁りました。相手にこちらの言い分をわかってもらうために、どうすればよいのか・・・上手な話し方や心理テクニックまで、相当な数の本を読みました。

しかし、そのときは必死だったのですが、いま思えばその努力は「根本的に」間違っていたのでした。

後進育成の名言

何が間違っていたのか。それが分かったのは、職場での後輩の指導について悩んだのがきっかけでした。

職場で昇進したことで、後輩を指導する役目を持つようになり、自分なりに試行錯誤しながら指導していました。

ある時、他の同僚から、その後輩が周囲からあまりよく思われていないことを聞かされます。

指導を担当している者として、なんとかせねばと部下育成について調べようと、また本屋へ(懲りずにまた本が頼り・・・)

後進の育成についての名言集をペラペラめくっていると、あるページが目に飛び込んできてきました。それは旧日本海軍連合艦隊司令長官、山本五十六の言葉で、このようなものでした。

やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ

この言葉に衝撃を受けました。根本的な間違いに気が付いたのです。

山本五十六の極意

その間違いとは

「自分の思うとおりに相手を動かそうとしていた」

ということです。

相手への説明の仕方を磨いたり、心理的に影響を与えようとしていたのも、すべて「相手を動かそうとしていた」からに他なりません。

しかし山本五十六の言葉には、思うとおりに動かしてやろう、という意図は感じられません。そのスタンスはあくまで、

「動くかどうかは相手の自発性に任せて、自分はそれを助けるだけ」

だということなのです。

後進や部下に対して、上から押し付けるのではなく、彼らが自らの力で成長するのをサポートするという真摯な姿勢に、心を揺さぶられたような思いがしました。

そして、思い通りに相手を動かそうとしていた自分に、「こちらが正しい」という驕りがあったことにも気づきました。

それ以来、相手をコントロールしようとしないことに決めたのです。言い換えれば、相手を動かすことを「諦めた」のです。

諦めてしまって、本当にコミュニケーションが取れるのか、対人関係がうまくいくのか心配になるのも無理はないと思います。

それについては次回、くわしく説明します。

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コメント

  1. aquarius より:

    はじめまして、HSPで検索したらこちらのブログに偶然たどり着きました。

    私もHSPですが、何の縁か、かつてが全く自分に向かない小売業界にいました。

    精神的に病んだこともあるのでお気持ちはわかります。困ったことがあれば、書店で本を探すのもよーくわかります。私もそういうタイプですので。

    ウエスタさんが、山本五十六の言葉で気づいて本当に良かったと思いました。

    というのも、かつて、私をみっちり監視するタイプの上司(一挙手一投足監視されてました・・・)がいて、おこがましくも山本五十六の精神を知れ!と内心ずっと思っておりました。(過去にドラマ『坂の上の雲』でこの言葉を知っていたので)正直、サボる部下を監視してほしかったのですが・・・。

    で、頑張れの一点張り、サボる部下に甘い・・・張りつめていた糸がぷっつり切れました。その前の上司との約束を破ってしまったことを、すごく申し訳なく思いましたが、自分自身、どうしたらいいのか完全にわからなくなり去りました。

    ウエスタさんのように、ちゃんと気づける上司に出会えればよかったなと今では思います。

    • ウェスタ氏 より:

      aquariusさん

      コメントありがとうございます。

      私の記事に共感していただて、嬉しく思います。ただ、共感できるということは、それだけ大変な経験をされたからなのでしょう。

      私が望むのは、aquariusさんが経験されたご苦労を、他の誰かが活かせるようにフィードバックすることです。誰かに伝える、誰かと共有するだけでその経験は、少しだけ社会をよくする糧になります。

      すでにこの書き込みだけでも、誰かの目に留まり、何かのきっかけになっているかもしれません。

      aquariusさんの行動に、私は拍手を送りたいと思います。